2017年4月27日 更新

〝忍者〟ホルモンが、 アトピーや花粉症を止める。

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体内で合成する力をもっている

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 アトピーのかゆみ、花粉症の止まらない鼻水とくしゃみなど、アレルギー性の症状が出る季節です。その症状を即座に止めてしまう魔法の薬があったらいいと思いませんか?

 実はこうした症状を促したり、止めたりして調節する物質を、私たちの体は合成することができるのです。必要なときに瞬時に合成され、役目を果たしたらすぐに消えてしまうため、この物質は別名〝忍者〟ホルモンとも呼ばれています。

 かゆみや鼻水の元は炎症ですが、炎症は侵入してきた菌など外敵(異物)を退治したり、追い出すため、体が起こす反応です。アレルギーとは、異物ではないものを異物と見なして反応したり、必要を越えて過剰に反応することです。この間違った反応、あるいは過剰な反応が、アトピーや花粉症、ぜんそくの症状になるとされています。

 つまり、この症状の元になる炎症を止める忍者ホルモンが現れてくれれば、アレルギーの過剰な反応は起きにくいか、起きても症状は非常に軽くなるはずです。ではなぜ、アトピーや花粉症の人には、この忍者ホルモンが現れてくれないのでしょうか。

症状を和らげるカギは食事

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 忍者ホルモンの原料は、油脂で「オメガ3」と「オメガ6」という油です。私たちがよく、お腹に脂肪がついたと言っているのは飽和脂肪酸です。飽和というのは脂肪の中に水素が自然に充満していて、安定しているため、酸化しにくい状態を言います。飽和脂肪酸は主に、人間や動物が貯蔵用に作っている油です。動物の油には、飽和脂肪酸がたくさん含まれています。

 これに対し、不飽和脂肪酸もあります。水素が充満し切っていないため不安定で、酸化しやすい油のことです。不飽和脂肪酸は「オメガ3」「オメガ6」「オメガ9」に分類できます。オメガ9は人間や動物でも作れますが、オメガ3とオメガ6は私たちの体では作ることはできせん。したがって、食事から摂るしかないのです。つまり、忍者ホルモンをうまく合成して、アトピーや花粉症の症状をやわらげたり、抑えたりするのは、食事が大きな鍵を握っていることになります。

 忍者ホルモンの専門用語はエイコサノイド。エイコサノイドには様々な種類があります。その原料となるオメガ3、オメガ6という油にもいくつか種類があります。エイコサノイドで、アトピーや花粉症などのアレルギーの症状に直接関係あるのは3つの忍者ホルモンとされています。一つは、症状の元となる炎症にブレーキをかけるタイプ。この原料はオメガ6のジホモガンマリノレン酸です。二つ目は炎症を強く促すタイプで、原料はオメガ6のアラキドン酸です。三つ目は炎症をゆるやかにゆっくりと進めるタイプ。この原料はオメガ3のEPA(エイコサペンタエン酸)です。

 かゆみや鼻水などの症状がどんどん進んでしまう人は、炎症を強く推進するオメガ6のアラキドン酸ばかりが多く、オメガ3のEPAとオメガ6のジホモガンマリノレン酸が不足しているわけです。では、具体的にはどうしたらいいのでしょう。

EPA源となる青み魚の油

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 オメガ6系列のアラキドン酸を多く含むのは、鶏や豚や牛など動物の肉です。それに対し、炎症をゆるやかにゆっくりと進めるオメガ3のEPA(エイコサペンタエン酸)を多く含むのは魚介類、特に青み魚の油です。つまり、動物の肉をなるべく控えて、魚の油を積極的に摂取すれば、アトピーや花粉症の症状はかなり和らぎます。アメリカで、寿司などの日本食が人気が高い理由のひとつは、EPA源となる魚がメニューに多いからといわれます。

 これに、炎症にブレーキをかける忍者ホルモンが加われば、さらに症状はよくなります。それがオメガ6のジホモガンマリノレン酸です。ジホモガンマリノレン酸は、植物油に多く含まれるオメガ6のリノール酸を元に、私たちの体の中で変換され、作り出されます。ところが、アトピーや花粉症の人はジホモガンマリノレン酸を不足させていて、炎症ブレーキ役の忍者ホルモンが思うように作れないようなのです。

 サラダ油、天ぷら油、ごま油などの植物油を大量に料理に使う現代の食生活では、リノール酸は過剰なほど大量に私たちの体に入ってきます。それなのにジホモガンマリノレン酸が不足するのは、リノール酸の変換がうまくいっていないからです。この変換を進めるのは酵素ですが、アトピーや花粉症の人は、この酵素がうまく働いていないのです。

亜鉛とビタミンB6が重要

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 オメガ6系のリノール酸の変換をする酵素を活性化するのは、ビタミンB6とミネラルの亜鉛とされています。 

 アメリカの医師、ジョナサン・ライト博士の研究によると、アトピーの人の多くは亜鉛不足だと指摘します。亜鉛を含む栄養素をきちんと補えば、リノール酸はガンマリノレン酸に、ガンマリノレン酸がジホモガンマリノレン酸へと順番に変換されていきます。リノール酸は植物油などでたっぷりと摂取できていますから、変換さえうまくいっていれば、ブレーキ役の忍者ホルモンの原料が不足することはないはずです。

 亜鉛を多く含む食品は、牡蠣(かき)、レバー、牛肉、精製していない小麦、納豆などです。また、ビタミンB6は、腸内細菌がバランスよく活発であれば、この腸内細菌が合成してくれますが、便秘や下痢の場合、食物繊維の不足、また抗生物質などの薬によって、腸内細菌のバランスは大きく崩れます。腸内細菌がうまくいっていないときは、精製していない小麦や玄米、レバー、大豆、カンタロープメロンなどビタミンB6を多く含む食品か、サプリメントでB6を十分に補う必要があります。

 オメガ3が健康にいいということで、亜麻仁油などのオメガ3を多く含む植物系の油が健康食品店などで人気がありますが、アトピーや花粉症をよくするには、植物系のオメガ3では無理があるようです。

植物系のオメガ3ではなくEPAを摂る

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 この魚の油に多いEPAはオメガ3系の油ですが、亜麻仁油やくるみなどもオメガ3を多く含みます。ところが、これら植物系のオメガ3は、EPAではなくて、アルファリノレン酸とされています。オメガ6と同じように、オメガ3のアルファリノレン酸も酵素によって、EPAに変換されます。魚は、食べた藻やプランクトンに多く含まれるアルファリノレン酸を酵素によってEPAに変換しているわけです。私たち人間の体も、この変換をすればEPAができるのですが、多くの人がこの変換をうまくできないようです。

 それは、オメガ6のリノール酸のように、ビタミンB6と亜鉛が不足しているために、酵素がうまく働いていないことが考えられます。酵素が働いているとしても、オメガ3のアルファリノレン酸を変換するのは、オメガ6の変換のときと全く同じ酵素です。

 リノール酸の摂取が極端に多い現代の食事では、酵素の大半がリノール酸の変換に取られてしまい、アルファリノレン酸を多少摂取したところで、酵素が思うように回って来ないことも考えられます。アトピーや花粉症の症状をよくするには、植物系のオメガ3はあまり期待できず、EPAを魚の油などで摂取する必要があります。

 最近、アメリカの栄養学者が注目しているのは、魚の油です。「ビタミンバイブル」の著者として有名なアール・ミンデル博士、自然療法医のマイケル・マリー博士などは、魚の油が、がんなどの生活習慣病の予防に欠かせない栄養素である、とまで言い始めています。それは魚の油がオメガ3のEPA( エイコサペンタエン酸)を多く含むからです。栄養学者が共通に指摘するのは、EPAが血液をさらさらにして流れを良くする、EPAから合成されるエイコサノイドがアトピーや花粉症などの症状をやわらげる、などです。

 アトピーや花粉症は、ミネラルバランスも非常に重要な鍵を握っている、と言われています。毎日の食事と同様に、油脂やミネラルのバランスを整えることも重要なポイントだといえます。
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