歯は健康のバロメーター|歯を丈夫にする栄養とは

高齢化が進み、いまや90歳を超えても健康長寿なお年寄りが増えています。

実は元気なお年寄りほど、口の中の噛む力、すなわち歯が丈夫なのです。

逆に歯や噛み合わせが悪いと、誤嚥性肺炎や心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病や呼吸器疾患などの病気にかかりやすい傾向が見られます。なぜ噛む力が衰えると病気になりやすいのでしょうか?

今日は「歯」についてを解説します!

全身の健康状態は、口の中に現れる

消化不良などで体に変調をきたすと、私たちは胃・腸など内臓の疾患や機能の低下を疑いがちです。

しかし、実は口の中の病気と関係していることが案外多いのです。

まずは食べ物を咀嚼するために必要な歯の健康状態です。

噛み合わせが悪かったり、虫歯があって上手に食べ物を噛むことができないと、消化ができていないことになります。

むし歯や歯周病が悪化し痛みが出たり歯が抜けたりすれば、食欲の減退にもつながり、顔の筋力をはじめ肩や背中などの筋力の低下の原因にもなります。また、近年患者が増加傾向にある糖尿病や高齢者によく見られる誤嚥性肺炎などの疾患なども、こうした口腔内の機能低下が原因の一つとも言われています。

つまり歯や口腔内の機能が衰えることは、消化不良の原因だけではなく様々な機能の低下につながり、結果的に様々な病気の引き金になるのです。

噛む力が衰えると栄養不足に

噛む力が衰えると、栄養不足を招きます。

噛む力が弱いと、自然と軟らかいものを好むようになり、歯ごたえのある肉、魚、食物繊維が多い生野菜などを避け、おかゆやうどん、そばなどの麺類、軟らかい食べ物を食べるようになります。つまり炭水化物中心の食生活になり、たんぱく質や脂質、ビタミン、ミネラルといった本来、必要な栄養が不足してしまうのです。

結果的に、糖質過多の生活から肥満や高血圧、高血糖などを招くもとになり、メタボリックシンドローム、心筋梗塞、脳梗塞、高齢者の場合は認知症を誘発することにもなるのです。

さらに噛む力が衰えることで、ふだんの仕事や運動などで「歯を食いしばる」ことができにくくなり「運動能力の低下」「転倒しやすい」「ストレスに弱い」といった面にも現れます。噛む力や口腔内の健康が損なわれると、食や栄養が乱れ、全身の健康状態に影響を及ぼすことは知っておくべきでしょう。

歯と口腔内の健康を保つには?

歯や噛む力が衰えないようにするには、噛み合わせや口腔ケアが極めて重要になってきます。

歯や口腔内の健康を守るには、むし歯や歯周病の治療・予防、食後の歯磨きなど、ふだんからのケアが大切です。

加えて、よく噛んで食べるなど咀嚼、噛み合わせを意識した食事をすること。

栄養バランスを考えたメニューを取り入れることも欠かせません。

口腔内の健康を保つことは、細菌による感染症の予防、噛み合わせを促進する唾液の分泌、消化吸収、脳の血液循環を良くするなどの働きにつながります。

さらに、歯や口の健康には、体力の維持向上のための適度な運動、生きがいのある生活、人との会話やコミュニケーションなども大切な要素だといわれています。

ウォーキングやジョギングなど軽めのスポーツ、趣味や特技に励むことを心がけるといいでしょう。

歯を丈夫にする栄養とは?

丈夫な歯や噛み合わせを良くするには、何と言っても栄養素が重要です。

とくに歯をつくる上で欠かせない栄養素は、たんぱく質、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、そしてカルシウム、マグネシウム、リン、フッ素などのミネラルだとされています。とくに、唾液の性質や分泌に関わる亜鉛が多い食材や、歯周組織に重要なコラーゲンには、たんぱく質やビタミンC、鉄がいいとされ、それらを意識した食事を心がけたいところです。

食品でいうと、味噌や豆腐などの大豆製品、オメガ3系の油を含んだ青魚、野菜、ごまやナッツ、ワカメ、昆布などの海藻類、しいたけなどのキノコ類、食物繊維を含んだ芋類など。

なかでもオメガ3系の油は、炎症を抑え、血液をさらさらにする働きがあり、歯周病や生活習慣病のリスクを下げるといわれています。

まとめ

口の中の健康は、体全体の健康につながっています。

食と栄養を体の隅々に行き渡らせるには「歯」がいのち。

歯を丈夫に保ち、噛み合わせをよくすることが、健康長寿への秘訣です。

ふだんから意識して、毎日のケアに励むことを心がけてください。