認知症を防ぎ、脳力をアップさせる「ブレインフード」とは?

高齢化に伴って、様々な病気にかかるリスクが高まっています。

がんや高血圧、糖尿病などの生活習慣病とともに、年々増えているのが「認知症」です。

認知症は、一旦かかってしまうと元に戻れない病気だと言われています。

進行すると寝たきりになってしまうケースも多く、健康長寿な老後を送るにはなんとしても認知症を予防したいところ。

そこで最近、クローズアップされているのが「ブレインフード」です。

その名の通り、脳の栄養となって働きをサポートすることから、認知症の予防にいいとされている食品です。

果たしてどんな食品なのでしょうか?

 

認知症とは

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認知症は、記憶力や感情、認知機能など人間のあらゆる活動をコントロールする脳の司令塔がうまく働かなくなり、精神も身体もスムーズに動かせなくなる病気です。

さまざまな種類があり、一般的にはアルツハイマー病、脳血管性認知症、前頭・側頭型認知症、レビー小体型認知症などが知られています。

なかでも発症割合が高いのがアルツハイマー型認知症で、年々増加傾向にあります。

発症する要因もさまざまです。

糖尿病や動脈硬化、肥満などの生活習慣に起因するものから、遺伝性のもの、感染症や慢性的な炎症が関係している認知症もあるようです。

認知症は、実際に発症するまでおよそ20年以上かかると考えられています。

つまり、脳の異変は20年以上も前から始まっていることを示しており、実際に症状があらわれる前に、出来るだけ早く予防に努めることが重要だといえます。

 

認知症を予防する食事とは

現代の医療では、認知症は残念ながらまだ根治できる段階に至っていません。

ただ食生活や運動など生活習慣の改善で、発症を遅らせたりすることはできると考えられています。

実際に欧米では、認知症患者の発症率が減少傾向にあり、中でもアメリカは1970年代から約40年間にわたり、減っていることがわかっています。

その理由は、血管を健康に保つための生活習慣の改善、とくに食生活や運動習慣を見直すことでかなり予防につながると考えられています。

認知症予防につながる食事として推奨されているのは「地中海料理」です。

地中海料理といえば、新鮮な魚介類や野菜、果物、ナッツ類などを食材として使い、ワインなどと一緒に食べるのが一般的です。

実際に、海外のある研究機関で、地中海料理を高い頻度で食べる群と、あまり食べない群で比較検証したところ、前者のアルツハイマー型認知症の発症は35%だったのに対し、後者は56%と大きな開きがあることがわかりました。

地中海料理に使われる食材の中には、実際に記憶力の向上や認知機能の改善に役立つものもあるようです。

 

脳の働きをサポートする食品は?

地中海料理に使われる食材の中で、認知症予防や脳に良い食品として近年注目されているのが「ブレインフード」です。

その名の通り、脳の栄養となって働きをサポートする食品で、魚、ナッツ類、カカオをふんだんに使ったチョコレートなどのほか、アボカド、カキ、卵、セロリ、ビーツ、ウコンなどが、脳の健康維持に役立つ食材とされています。

なかでも認知症予防におすすめなのが、脂質の一種であるレシチンを豊富に含む卵黄や、豆腐、納豆などの大豆食品だといわれています。

もう一つ、緑茶も脳に良い効果が期待できるとされています。

日本人は、むかしから緑茶を飲む習慣があります。

お茶の中でも、ウーロン茶や紅茶では、同じ効果は見られなかったことから、緑茶に多く含まれるポリフェノールの一種によるものではないかと考えられています。

 

ポリフェノールやEPA、DHAがいい

ポリフェノールは、赤ワインやチョコレートなどにも含まれています。

とくにチョコレートの認知症予防効果については、カカオを70%以上含んだものには、うつ病や認知症の予防効果が期待できることがわかっています。

最近は、カカオの含有率を売りにしたチョコレートも出回っているので、表示を確認した上で口にするといいでしょう。

ただそうは言ってもチョコレートは糖質を含んでいますので、やはり食べ過ぎは禁物です。

糖質以外に、植物油脂も要注意です。

植物油脂の中には、体内で炎症を起こすトランス脂肪酸が高濃度で使われている場合があります。

カカオの含有率と同様に、成分表で植物油脂を確認し、使われていない製品を選びたいものです。

認知症予防に役立てたいなら、カカオ含有率が高い苦味のあるチョコレートを少々、を心がけるといいでしょう。

脳の炎症を防ぎ、脳の活性化を促すブレインフードとしては、青身魚に多く含まれるEPAやDHAもおすすめです。

週一回、青身魚を食べる人は、アルツハイマー型認知症にかかるリスクが低いという研究報告もあります。

週一回、イワシや鯖、アジなどの魚メニューをぜひ、食卓に加えてください。

 

まとめ

ブレインフードは、認知症予防だけではなく、脳の活性化や脳力アップにも貢献する食品だといわれます。

食生活や栄養が偏りがちな現代人には、いずれも欠かせないものばかり。

ランチは新鮮な青み魚の塩焼きと野菜サラダ、ティータイムには、ナッツやカカオをたっぷりのチョコを少々つまみながら、緑茶をすする。

夜は、家族や気の合う仲間とゆっくり地中海料理。

週に一回、そんな食生活を楽しみながら、認知症予防や脳力アップに励むのもいいものです。