冬が終わり暖かい季節がやってくると、アトピーや花粉症などのアレルギー症状が出やすくなります。
その症状を即座に止めてしまう魔法の薬があったらいいと思いませんか?
実はこうした症状を止める物質を、私たちの体は合成することができるのです。
かゆみや鼻水の元は「炎症」ですが、炎症は侵入してきた菌など外敵を退治したり追い出すため、体が起こす反応です。
アレルギーとは、異物ではないものを異物と見なして過剰に反応することです。
この間違った反応が、アトピーや花粉症、ぜんそくの症状になると考えられています。
つまり、この症状の元になる炎症を止める物質が現れてくれれば、アレルギーの過剰な反応は起きない、もしくは起きても症状は非常に軽くなるはずです。
ではなぜ、アトピーや花粉症の人には、この炎症を止める物質が現れてくれないのでしょうか。
目次
炎症を止める物質とは?
炎症を止める物質の原料は、「オメガ3」と「オメガ6」という油です。
これらの油は「必須脂肪酸」と呼ばれており、私たちの体では作ることはできせん。
したがって、食事から摂るしかないのです。
つまり、アトピーや花粉症の症状をやわらげたり、抑えたりするのは、食事が大きな鍵を握っていることになります。
炎症を止める物質は、体内で合成されるホルモンの一種で、専門用語は「エイコサノイド」と言います。
エイコサノイドには様々な種類があります。
アトピーや花粉症などのアレルギーの症状に直接関係あるエイコサノイドは以下の3つになります。
- 症状の元となる炎症を止めるタイプ
この原料はオメガ6の「ジホモガンマリノレン酸」です。 - 炎症を強く促すタイプ
原料はオメガ6の「アラキドン酸」です。 - ①②のバランスを調整するタイプ。
原料はオメガ3の「EPA(エイコサペンタエン酸)」です。
かゆみや鼻水などの症状がどんどん進んでしまう人は、炎症を強く推進するオメガ6のアラキドン酸ばかりが多く、オメガ3のEPAとオメガ6のジホモガンマリノレン酸が不足しているわけです。
では、具体的にはどうしたらいいのでしょう。
炎症をコントロールするには?
オメガ6のアラキドン酸を多く含むのは、鶏や豚や牛など動物の肉です。
それに対し、炎症反応を調整するオメガ3のEPA(エイコサペンタエン酸)を多く含むのは魚介類、特に青身魚です。
つまり、動物の肉をなるべく控えて、魚の油を積極的に摂取すれば、アトピーや花粉症の症状は緩和すると言えます。
アメリカで寿司などの日本食の人気が高い理由のひとつは、EPA源となる魚がメニューに多いからといわれます。
これに、炎症を止めるホルモンが加われば、さらに症状はよくなるといえます。
そのホルモンの材料が、オメガ6のジホモガンマリノレン酸です。
ジホモガンマリノレン酸は、植物油に多く含まれるオメガ6のリノール酸を元に、私たちの体の中で変換され、作り出されます。
ところが、アトピーや花粉症の人はジホモガンマリノレン酸を不足させていて、炎症を止めるホルモンが思うように作れないようなのです。
サラダ油、天ぷら油、ごま油などの植物油を大量に料理に使う現代の食生活では、リノール酸は過剰なほど大量に私たちの体に入ってきているのに、なぜジホモガンマリノレン酸が不足してしまっているのでしょうか。
植物油の落とし穴
炎症を止めるホルモンの材料になる植物油を大量に使用しているのに、アトピーや花粉症が止まらないのはなぜか。
そのカギを握っているのが、植物油の性質です。
リノール酸をはじめとする植物油は、とても酸化しやすい脂肪酸です。
そのため、加熱調理に使用すると急激に酸化が進んでしまうとされています。
酸化したリノール酸は、ジホモガンマリノレン酸には変わらないため、炎症を止めるホルモンの材料にはなりません。
それどころか、酸化したリノール酸は、炎症を引き起こすアラキドン酸に変化すると言われています。
炎症を抑えるはずの植物油が、逆に炎症を引き起こすものになってしまっている背景には、植物油が酸化しやすいという性質が関係していたのです。
植物油を使用するときは、なるべく酸化していないエキストラバージンオイルなど製造工程で加熱処理をしていないものを選ぶようにすることが大切です。
まとめ
アトピーや花粉症の症状をよくする一番の決め手は、オメガの6のジホモガンマリノレン酸とオメガ3のEPAをバランスよく摂取することです。
数年前から、アメリカの栄養学者がとくに注目しているのが、EPAです。
「ビタミンバイブル」の著者として有名なアール・ミンデル博士、自然療法医のマイケル・マリー博士などは、魚の油(EPA)が、がんなどの生活習慣病の予防に欠かせない栄養素である、とまで言い始めています。
そして、これらの油は酸化に弱いので、出来るだけ新鮮なものを生で摂るようにしましょう。
ジホモガンマリノレン酸の効果を最大限に得ようとするならば、やっぱり生野菜です。
油のバランスや質に注意することが、アトピーや花粉症を寄せ付けないポイントの一つだと言えるのではないでしょうか?
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