アルツハイマーは、食事と栄養管理で予防できる!?

高齢化とともに、全国で認知症の患者が増えています。

厚生労働省の調べ(2015年1月)によると、日本の認知症患者数は2012年時点で約462万人、65歳以上の高齢者の約7人に1人と推計されています。

2025年には、団塊の世代が75歳以上となり、認知症患者は今後さらに増え続けると予想されています。

なぜこんなにも認知症患者が増え続けているのでしょうか?

この記事では、認知症、アルツハイマーなどの原因と予防法に迫っていきます。

 

アルツハイマーとは

認知症のうち、約4割を占めているのがアルツハイマー型認知症です。

認知症とアルツハイマーは混同されがちですが、厳密にはアルツハイマーは認知症のなかの一つ。

脳が少しずつ萎縮していき、認知機能が低下していく病気です。

脳の萎縮によって頭蓋骨の間にすき間ができたり、「アミロイド斑(老人斑)」と呼ばれる病変が見られたりします。

アルツハイマー病は、脳に「アミロイドβタンパク」という物質がたまり、神経細胞を傷つけて情報伝達が正常に行われなくなってしまうのが主な原因とされています。

一見、脳の病気と思われがちですが、目の網膜にもアミロイドβタンパクの蓄積が見られることから、実は目の病気である「加齢黄斑変性」とも関連すると考えられています。

加齢黄斑変性はどんな病気なのでしょうか?

なぜ、脳と関係するのでしょうか?

 

目と脳はつながっている

老化に伴う目の病気といえば、一般的に「白内障」や「緑内障」をイメージしますが、近年、増加してきているのが「加齢黄斑変性」です。

文字通り、年齢とともに発症率が高くなり、世界で最も高齢化が進んでいる日本では、患者数はおよそ70万人とも推定されます。

加齢黄斑変性は、眼底の網膜にある黄斑という組織が傷つくことで発症します。

黄斑は、網膜の中でも物や色の識別をするデリケートな細胞が集まっている場所で、ダメージを受けると、目の中心がぼやけたり、ゆがんだり、黒く見えたりする症状が現われます。

視力低下や悪化すると失明につながる重い病気です。

 

その加齢黄斑変性とアルツハイマーは、どのようにかかわっているのでしょうか?

それを知る手がかりになる研究があります。

東京医科歯科大学の大野京子教授・森田育男教授が、2005年9月に「脳のアルツハイマー病と、目の加齢黄斑変性症の発症には共通のメカニズムがあり、その原因がアミロイドβという物質である」ことを世界で初めて明らかにしました。

それによると、アルツハイマー病で脳に蓄積したアミロイドβタンパクは、加齢黄斑変性を発症する前の網膜にも見られ、これが黄斑にダメージをもたらしていると指摘しています。

脳に蓄積したアミロイドβからは、有害な活性酸素が発生し、神経細胞の変性を促進することが知られています。

それと同じことが、網膜でも生じているというのです。

目と脳の病気はまったく別のようにも思えますが、目は視神経を通じて脳と直接つながっており「脳の一部」と言っても過言ではありません。

つまり加齢黄斑変性は、目のアルツハイマーとも言えるのです。

 

アルツハイマーを予防するには?

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アルツハイマーや加齢黄斑変性の症状が出たら、基本的には病院で治療するしかありません。

が、いずれの病気も一旦かかったら、回復は難しいとされています。

それゆえ重要なのは、病気にならないための「予防」策です。

欧米では、アルツハイマー病に陥らないためには、食生活や栄養面からのアプローチが重要だとして早くから対策に乗り出しています。

その一つに、アメリカ・コロンビア大学で行われた実験があります。

65歳以上の健康な市民2000人の食生活について約4年間調査し、データを集めました。

それによると、ナッツ類や魚、トマト、アブラナ科の野菜などが多く、肉類や乳製品の少ない食事をしている人は、果物や野菜が少なく、肉類や乳製品を多めに食べている人に比べて、アルツハイマー病を発症するリスクは、最大で4割近く低くなることがわかったのです。

同時に、オメガ3、オメガ6を含む不飽和脂肪酸やビタミンE、ビタミン12、葉酸といった栄養がリスクを下げていることも明らかになりました。

この結果から、アルツハイマーなど認知症になりにくい体にするには、野菜や魚、大豆製品を中心とした食事に切り替え、脂肪酸の摂取比率を是正することがポイントになると明らかにしたのです。

 

脳と目の健康を支えるミネラル

一方、加齢黄斑変性の発症リスクを下げる食事については、アメリカ・タフツ大学の研究チームが、4000名を超える被験者の食習慣から分析しています。

それによると、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛、ルティン、ゼアキサンチン、EPAとDHAが豊富なオメガ3に加え、血糖値の上昇を抑えた「抗糖化」の食事を推奨しています。

血糖値の上昇は、毛細血管に与える影響が大きく、毛細血管が密集する眼底は糖化のダメージを受けやすい部位だとされています。

そのため、黄斑部分が圧迫され、炎症による障害などのリスクもあることから加齢黄斑変性につながりかねないと考えられています。

ちなみに、加齢黄斑変性の患者に亜鉛を与えたところ、視力の改善や視力低下の遅延が見られたという研究報告もあります。

亜鉛は「視力を作り出す」ミネラルとして知られ、糖尿病の合併症である「糖尿病性網膜症」を予防する観点から、マグネシウムやセレンとともに、網膜の健康状態を高める重要な栄養素だといわれています。

 

まとめ

歳をとったら誰でも、認知症やアルツハイマーは避けられないと思うかもしれません。

しかし実は、食生活と栄養を見直すことで十分、予防は可能だということが、さまざまな臨床データや研究結果から明らかになってきています。

病気予防に共通するのは、タンパク質や脂肪、野菜を中心としたビタミン、ミネラル、植物栄養素をバランスよく摂取すること。

食卓を見直すことは、体を見直すことだと考えて取り組んでみてはいかがでしょうか?