健康な身体を維持するためには、腸内環境を整えることが大切です。
人の身体には、約3万種類もの腸内細菌が住んでいるといわれており、その数は100〜1000兆個とされています。
腸内最近たちは、毎日、身体の中で様々な栄養素を合成したり、病原菌の侵入を防いだりと、多くの重要な働き担っています。
近年、植物性の栄養物質が腸内環境を整える働きがあることがわかってきたようです。
果たしてその真相とは?
目次
健康を左右する腸内環境
私たちがふだん口にするすべての食べ物は、口から食道を通って胃や腸に運ばれ、消化、吸収され、エネルギーになっていきます。
この食べ物の消化吸収を助けているのが、腸内にいる微生物、いわゆる腸内細菌です。
近年、腸内環境や腸内細菌の研究が進んできて、私たちの体でさまざまな機能や役割を果たしていることがわかってきています。
腸内環境は、食べ物の消化吸収を助けるだけではなく、免疫力のバランスを調整したり、病原菌の侵入を防いだり、さらには感情や思考にまで何かしらの影響を与えていると考えられています。
つまり体の健康状態を保つには、腸内環境を整えることが重要な要素になっているのです。
腸内環境を左右する細菌の割合は通常、善玉菌が2割、悪玉菌が1割で、残りの7割が日和見菌と言われています。
腸内環境は、食事や栄養によって変わるとされていますが、善玉菌を増やそうと思っても、残念ながら2割以上増やすことはできません。
ポイントは善玉、悪玉どちらにも変わりうる日和見菌で、どちら寄りに変わるかで健康か病気になりやすいかが決まると考えられています。
ベリー類ってどんなもの?
腸内細菌は、日々変化すると考えられており、良い状態を保つには、まず精製された炭水化物や糖質は極力避け、食物繊維や抗酸化作用のある食品を多く摂るのがいいとされています。
ワインに多いポリフェノール、ニンニクやネギなどの硫黄化合物、きのこ類に含まれるベータグルカンなど、植物性の栄養物質が特に良いようです。
この植物や野菜に含まれる様々な栄養物質は「ファイトケミカル」と呼ばれています。
そのなかで、腸内環境を整えるスーパーフードとして最近、注目されているのが「ベリー類」です。
ベリー類というと、ジャムや果実酒など使われることが多い果物で、ラズベリー、ブルーベリー、クランベリー、ブラックベリー、ストロベリー、カシスなどが代表的なものとして知られます。
押し並べてポリフェノールが豊富に含まれ、血管を丈夫にする、血中の脂質を減らして動脈硬化のリスクを下げる、血圧を安定させるといった働きがあると考えられています。
一方で、食中毒の元になるサルモネラ菌やブドウ球菌などの強力な病原菌を選択的に抑え、腸内環境のバランスを改善するといった研究結果なども報告されています。
繊維質や植物性栄養素が豊富
ベリー類というと、名前から「〜ベリー」とつくものは同じ仲間だと思われがちですが、実は分類上は異なっています。
ラズベリーやブラックベリーは、いわゆる木イチゴの一種で「バラ科キイチゴ属」、クランベリーやブルーベリーは「ツツジ科スノキ属」、カシスは「スグリ科スグリ属」にそれぞれ分類されます。
中でもとくに、抗炎症作用が高いとされているのが「ブルーベリー」です。
抗菌作用と善玉菌の栄養源になり、炎症を誘発する脂肪細胞の成長を抑えると考えられています。
繊維質と植物性栄養素が豊富なのはラズベリーで、ブルーベリーと同じく善玉菌を増やす繊維が多いほか、ビタミンやカルシウム、マグネシウム、リン、カリウムといったミネラルも豊富に含まれています。
ラズベリーといえば鮮やかな赤色で、甘酸っぱく、ケーキやタルトなど洋菓子にも用いられます。
原産地はヨーロッパや北米ですが、日本でも近年、栽培が進んでおり北海道や長野県で多く収穫されています。
カクテルなどによく使われるカシスは、甘酸っぱくて香りがよく、ジュースやお酒、お菓子などに加工されます。
日本では青森県や岩手県などの東北地方で栽培され、7月中旬~8月上旬が収穫時期です。
ベリー類で腸内環境を整える
いずれにしても、注目すべきは紹介してきたような天然成分に含まれている健康効果。
ベリー類の美しい色素のもとになるアントシアニンは、強力な抗炎症成分として知られています。
この成分は、全身性の炎症と闘い、炎症マーカーを減らすことがわかっています。
ラズベリーには、糖質を摂取したときに、血糖・インスリン反応を緩和する働きがあるほか、ベリー類には心疾患や2型糖尿病、肥満など生活習慣病の抑制に作用するものが多くあり、健康づくりの強い味方といえるでしょう。
果物なので食べやすく、ヨーグルトや野菜など他の食材との相性もバッチリ。
暑さで食欲が落ちる夏に、腸内環境を整えるためにぜひ補充したいスイーツです。
まとめ
ただし、健康に良いとはいっても、ベリー類は果糖を含むので取りすぎには要注意。
当然のことながら、ベリー類を加工したジュースや缶詰、フルーツロールなどには、多くの砂糖やコーンシロップがたっぷり使われていることも知っておくべきでしょう。
基本的に、健康メリットを得るためには、自然のままで得るのがポイントです。
食品の成分表示をよく見て、食べる量を1日15~25gに抑えるなど、自分の健康状態にあわせて摂取するのがいいでしょう。
この夏、ベリー類で腸内環境を整えて“ベリーナイス”な一日を!