スルフォラファンの解毒力に注目!|アブラナ科の野菜に強い抗がん作用

日本人の食習慣として昔から知られる「焼き魚に大根おろし」。

最近は、肉料理などさまざまなメニューに見られますが、なぜ大根おろしを添えるのでしょうか?

一般的に、大根は擦り下ろすことで薬効成分が活性化し、酵素の量が増え、魚や肉などと一緒に口の中に入れると消化、吸収を助けてくれるとされています。

体の細胞が新しく生まれ変わるには、食べ物の消化、吸収が大前提ですが、実は大根おろしの働きはそれだけではありません。

大根をはじめとするアブラナ科の野菜には、がんの予防に効果を発揮する物質が存在することがわかっています。

その有効成分は「スルフォラファン」。

抗酸化作用の強いファイトケミカルの一種で、アブラナ科の植物にとりわけ多く含まれているとされています。

ファイトケミカルとは、野菜や果物などの植物が持つ化学成分で、近年このファイトケミカルの抗酸化力が、生体調節機能に深く関わっているとして注目されています。

スルフォラファンとはどんな成分なのでしょうか?

なぜ今、クローズアップされているのでしょうか?

スルフォラフォンって何?

スルフォラファンの前に、まずファイトケミカル(phytochemical:フィトケミカルとも言う)について触れておくと、phytoは植物、chemicalは化学成分のこと。

つまり植物由来の化学成分のことで、よく知られているものに赤ワインなどに含まれるポリフェノールや、緑黄色野菜に含まれるカルテノイド、大根やわさびなどの辛味成分であるイソチオシアネートなどがあります。

ファイトケミカルの最も重要な機能は、「抗酸化作用」とされています。

スルフォラファンは、抗酸化作用の強いイソチオシアネートの一種だとされますが、食物として口の中に入って咀嚼されることで変換され、生成されます。

つまり、食物として口の中に入ると、植物の酵素が野菜から出現し、私たちの噛む行為に反応して、スルフォラファンに変換されるのです。

スルフォラファンが体内に取り込まれると、抗酸化物質として活性化し、がんの予防に強い効果を発揮するとされています。

焼き魚に添えられる大根おろしは、まさに抗酸化やがん予防に欠かせない働きをしているというわけです。

スルフォラファンの解毒力

スルフォラファンの働きは、抗酸化やがん予防にとどまりません。

最近の研究で、脳や視力を守り、アレルギー性鼻炎や糖尿病(2型)を抑制する作用があることもわかってきました。

さらにスルフォラファンの解毒力が、自閉症の治療にも役立つことを明らかにした研究者たちもいます。

アメリカのハーバード大学とジョンズ・ホプキンス大学の研究者たちで、自閉症の男児たちを対象にしたランダム化二重盲検比較試験で、1日2〜3品目のアブラナ科の野菜を摂取したのと同等のスルフォラファンを投与。

その結果、数週間で、男児たちの社会的交流や言語コミュニケーションに進捗が見られ、行動異常が改善されたというのです。

研究者たちが「スルフォラファンの解毒剤としての作用によるものと考えられる」と発表したことで、その知られざるパワーに期待が集まっています。

どんな野菜から生成される?

スルフォラファンは、大根をはじめとするアブラナ科の野菜から多く生成されます。

具体的には、キャベツ、カブ、白菜、ブロッコリー、カリフラワー、小松菜、菜の花、レッドキャベツ、ケール、芽キャベツ、クレソンなど。

ほとんどのアブラナ科の植物には、自然に生えているときに、グレコシノレートという物質が大量に存在します。

これらの植物を、食べ物として口の中に入れると、途端にミロシナーゼと言う植物の酵素が野菜から出現し、私たちの噛む行為に反応して、植物のなかのグレコシノレートがスルフォラフォンに変換される過程をたどります。

つまり、スルフォラファンが生成されるためには、口の中の咀嚼などによってグレコシノレートという物質が、ミロシナーゼという酵素と混ざりあって反応することが必要だということになります。

熱に弱い弱点を克服するには?

ただ問題は、酵素は「熱に弱い」ことです。

そのため、ミロシナーゼはたとえば熱処理を加えたあとに口の中で咀嚼しても、その時点で死滅してしまっているのでスルフォラファンは生成されにくくなります。

しかし、グレコシノレートやスルフォラファンは逆に熱への耐性があることから、例えばアブラナ科の野菜はすぐに茹でずに、素材をカットして細かくしたあと40分ほどおいておき、そのあと加熱処理すれば、スルフォラファンを生成することができるとされています。

つまり刻んで待つ、のが秘訣で、40分ほど時間を置くとスルフォラファンが生成され、その後に熱処理しても落ちないそうです。

ブロッコリーやカリフラワー、小松菜、菜の花など生のままでは食べにくいものが多いので是非、ためしてみてはいかがでしょうか?

まとめ

アブラナ科の野菜に存在する抗酸化作用は、タマネギやアスパラなどのユリ科、トマト、ピーマンなどのナス科の野菜と比べて格段に高いものがあります。

スルフォラファンの解毒作用を高めるためにも、アブラナ科の野菜は積極的に摂取したいところ。

大根おろしのようにできるだけ生で摂取したり、素材をカットして時間を置いてから熱処理を加えるなど、工夫して摂るようにしたいものです。

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