塩分の摂りすぎに要注意!|暑さに負けない正しい水分補給とは?

夏の太陽がさんさんと降り注ぎ、30度を超える真夏日や猛暑日が続くと、汗をかく量も半端ではありません。

汗をかけば、まず水分補給。

私たちは普段でも呼吸や発汗、排泄などで1日2〜4リットルの水分を排出していることから、最低でも1日2リットルの水分補給は必須とされています。

 

 

熱中症対策に塩分は大切?

夏場はさらに多くの水分が体から抜け出ることから、熱中症防止のためにも水分補給は欠かせません。

汗をかいたあと、スポーツドリンクでごくごく喉を潤す姿があちこちでみられます。

 

ところで水分補給というと、この時期とくに気になるのは

「塩分も一緒に補給しましょう」

というセリフ。

スポーツドリンクなど清涼飲料水のCMでも盛んに耳にしますが、ほんとのところはどうなのでしょうか?

 

実は、医師など専門家は、夏場の塩分補給をあまりすすめていません。

というのも、発汗などにより確かに塩分はいくらか排出はしますが、日本人の塩分摂取量はもともと標準を超えているケースが多いとされているからです。

 

日本人は塩分過多

2012年時点の数字ですが、日本の成人1日あたりの食塩平均摂取量は、男性で11.3グラム、女性で9.6グラムと発表されています。

世界保健機関(WHO)は、世界中の人の食塩摂取目標を1日5グラムとしています。

アメリカでは、心血管疾患の予防のためのガイドラインは1日3.8~6.0グラム。

日本では、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」の報告書によれば、18歳以上の男性は1日当たり8.0グラム未満、18歳以上の女性は1日当たり7.0グラム未満と定められています。

7年前とはいえ、日本人の実際の食塩摂取量は世界と比べても多いのです。

 

いうまでもなく、塩分を摂りすぎると血圧が上がることはよく知られています。

高血圧は、動脈硬化につながり、脳卒中や心筋梗塞などの重篤な病気を引き起こします。

塩分の取りすぎで腎臓の疾患や骨粗鬆症、がんなどを招くこともあり、とくに血圧が高めのお年寄りは、減塩や塩分控えめな食事は必須といっていいでしょう。

日本高血圧学会減塩委員会は、高血圧予防のために、1日6グラム未満という制限を勧めています。

減塩委員会は、「夏に塩分摂取を増やすことは通常は必要ありませんが、汗を大量にかいた場合は例外となります」として、大汗をかいた時以外は、夏でも特に塩分補給は必要ないという立場をとっています。

 

麺類や加工食品に要注意

ちなみに、日本人が主にどんな食品で塩分摂取が多いかを調べたデータがあります。

東大の研究チームが、二つの県に住む20〜69歳までの健康な男女およそ400人の食事から、食塩摂取量を分析したものです。

それによると男性で塩分摂取の寄与率が高い食べ物は、麺類5%、漬物4%、魚介類7%、醤油20%、味噌9%。

女性は、麺類3%、パン5%、漬物3%、魚介類7%、醤油20%、味噌9%、食塩16%となっています。

現代の日本人の食生活は、食の欧米化に伴い、ハムやソーセージなどの加工食品、ラーメン、ファストフードなど味の濃いものを口にする機会が増えています。

また、ソースなどの調味料やドレッシングなどからの塩分摂取も考えると、私たちは普段、思った以上に塩分の多い食事をしているといえるかもしれません。

それゆえ高血圧の人をはじめ、運動などで大量に汗をかいた場合を除き、夏でも減塩もしくは塩分制限をすべきだと考えられています。

 

減塩は高血圧の人だけの課題ではない

もちろん、減塩したからといって高血圧が急に改善されるわけではありません。

塩分と高血圧の関係は、私たちが若い頃から栄養価の偏った食事をしてきたことに基づいています。

体内の塩分のバランスをとるために必要な「カリウム」などのミネラルもしっかり補給することが大切です。

カリウムが多い野菜や果物は、毎日の食事に積極的に取り入れると良いでしょう。

 

減塩は高血圧の人はもちろん、そうでない人も意識する必要があるといえます。

注意すべきは「夏場は、汗と一緒に塩分も抜け落ちるので、少々塩辛いものを食べても塩分補給になるので大丈夫」だと勘違いしないこと。

一日3食普通に食事をとっていれば塩分不足に陥ることはまずありません。

それよりも圧倒的に、水分が足りないことの方が身体的には大問題なのです。

 

まとめ

それでなくても、夏は肥満を助長する糖質をたっぷり含んだ食事に手が伸びます。

ソーメンや冷やし中華などの麺類、汗をかいたあとの生ビール、スポーツドリンク、清涼飲料水。

さらには、かき氷やアイスクリームなど。

最近は、経口補水液など健康をうたっているものも出回っていますが、健康や肥満を意識するなら塩分だけではなく、糖質が多い飲料水は極力避けた方がいいでしょう。

統計上、夏に太る人が多いというのも事実。減塩は必要ない、という言葉に惑わされず、普段から塩分をとりすぎないように心がけた方がよさそうです。