エーゲ海に浮かぶギリシャ最大の島、クレタ島は、古代文明が栄えたところとして知られますが、島民の多くががんや心臓病にかかる人が少ない島としても有名です。島の人口約60万人、平均寿命が女性84歳、男性78歳(世界保健統計2015年)と長寿の島でもあります。
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大地のミネラルを吸収した野菜
クレタ島は、エーゲ海に浮かぶギリシャ最大の島で、クノッソス宮殿などの多くの遺跡や長い歴史がある世界的な観光地として知られています。地中海特有の温暖な気候、年間雨量が少なく、乾燥した荒地がいまだに残る自然豊かな島でもあります。
しかし一方で、クレタ島は、がんや心臓病など成人病が少ないところとして、世界保健機構(WHO)や欧米の研究機関、医療機関から注目されているのをご存知でしょうか? その理由としてあげられているのが、島民の「食生活」だと考えられています。
現地の人びとは、昔から島の荒れ地で原種に近い野菜を育てていて、岩山には野生のハーブも自生しています。島の環境、条件のなかで育った野菜やハーブは、大地のミネラルをしっかり吸収しているといわれています。クレタの人たちは、これらを日常食として体内に取り入れており、それが健康を保てる一因ではないかと指摘されています。
不飽和脂肪酸を多く含むオイルを摂取
クレタ島の人びとの食生活や生活習慣が、がんや心臓病を遠ざけているという見方は、実は1950~1960年ごろにすでに明らかになっています。根拠の一つになっているのが、アメリカの生理学者で、公衆衛生学が専門のアンセル・キース博士が発表した研究結果です。
この研究は、第2次世界大戦終了後、世界保健機関が主体となり、伝統的な健康食とはなにかを討議するなかで進められたものです。キース博士は、アメリカ、フィンランド、日本、イタリア、ギリシャ、ユーゴスラビア、オランダの7カ国11地域、延べ 12,700 名についての疫学調査を行い、その結果「栄養学的に最良の食事は、地中海式の食事で、なかでもギリシャのクレタ島において、心疾患やがんの発生率、死亡率が低いのは、不飽和脂肪酸を多く含むオリーブオイルを使用した食事様式にある」と結論づけています。
同じような研究は、2007年に早稲田大学大学院スポーツ科学研究科の深澤朋子氏らの研究でも明らかにされており、ギリシャ、クレタ島の食生活は、健康長寿の拠りどころとして今では世界的に知られるようになっています。ちなみに、島の人口は約60万人で、平均寿命が女性84歳、男性78歳(世界保健統計2015年)と長寿の島でもあります。
オリーブオイルは良質なものを使う
実際に、クレタ島の人びとがどんな食生活を送っているのかを探ってみると、全粒穀物や島で自生した野菜やハーブのほか、島民はオリーブオイルやチーズの摂取量は世界でも1、2位を争うほど。彼らが食べるチーズは、山羊の生乳から作られたものが多く、一年中野外で放牧され、雑多な種類の野草や牧草を食べて育っている山羊や牛の生乳を使っています。
自然の中で放牧された山羊の乳は、高度に加工処理された工場生産のミルクと違って濃厚で、栄養価が何倍も高いといわれます。チーズだけではなくヨーグルトにも最適で、現地の人びとの食生活をより健康的なものにしています。
さらに、野菜やハーブ、オリーブオイル、チーズに加えてワインをこよなく愛し、肉よりむしろ魚を多く好み、ナッツや豆類などもよく食べるそうです。
ちなみにオリーブオイルは、熱を加えると酸化しやすいので、良質のものを選ぶことが健康に良いようです。現地では、パンにつけたり、野菜にかけたりなどそのまま食用にしているケースが圧倒的。良質な脂は、細胞を元気にさせ、肌や髪にハリが出たり、脳内の神経伝達物質にもなることから記憶力や集中力など脳の働きにも直結すると言われます。
クレタ島の人びとの健康長寿は、日々の食事から良質な脂を摂取していることからも裏付けられているようです。
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