私たち日本人にとって料理は、加熱したりあったかくして食べるのが美味しいし、普通のことだと思います。
しかし、熱を加えれば加えるほど食材に含まれる酵素が死滅し、ビタミンなどの栄養素が落ちてしまうのをご存知でしょうか?
そこで今、自然の食材、とくに野菜や果物などを加熱せず、生のまま丸ごと食べることによって、生きた酵素やビタミンを体内に取り入れる食事法が注目されています。
アメリカでは、すでに20年以上前から自然の食材を生で提供する
「ローフードレストラン」
が人気を集めており、遅まきながら日本でも流行の兆しを見せ始めています。
なぜ今、生食が注目されているのでしょうか?
そしてローフードレストランとは、そもそもどんなお店なのでしょうか?
目次
ローフードレストランとは?
ローフード(Raw food)とは
「生の」「加工されていない」食べ物のこと。
ローフードレストランとは、食材が本来もっている酵素やビタミン、ミネラルなどを効率よく摂取するために、新鮮な素材の良さを生かし、できるだけ加熱せずにお客様に提供しているお店です。
日本ではまだ全国的に知られていませんが、東京や大阪など大都市でローフードカフェなどの看板を見かけるようになりました。
栄養素のもとになる酵素は、一般的に熱に弱いとされており、摂氏46~48度以上に加熱すると食物酵素が破壊されると考えられています。
このためローフードを実践しているお店では、食材を生もしくは48度以下に保って調理して提供しているようです。
ローフードレストランは、アメリカが発祥で、もともとは1991年に始まった「5 A DAY(ファイブ・ア・デイ)」キャンペーンという、がん予防をめざした国民健康増進運動がきっかけだといわれています。
なぜローフードがいいの?
1990年当時、アメリカではがんが死亡原因のトップを占め、大きな問題になっていました。
1977年に、当時の上院議員だったジョージ・マクガバン氏が発表した通称「マクガバン・レポート」で、がん・心臓病をはじめさまざまな疾病と食生活との関係性が明らかになって以降、アメリカでは疾病予防のための食生活に関する研究が多く報告されてきました。
その結果を受け、1991年にPBH(農産物健康推進基金)とNCI(米国国立がん研究所)が協力して、5 A DAY運動が始まったとされています。
この運動は、がんを予防するには、野菜と果物を多くとり入れた食生活が欠かせないとして「1日に5皿分の野菜と200gの果物を食べよう」というシンプルなスローガンがもとになっています。
これを受けて、青果業界、食品業界が情報発信や啓発活動をくり広げ、全米あげての健康増進運動に成長したといわれています。
その結果、アメリカ国内では野菜や果物の摂取量が増加し、生活習慣病の死亡率が減少傾向になるなど大きな成果を上げています。
以来、自然の素材は生食で食べるほうが、加熱食よりも健康的であるという考え方が広まり、生食から大量に「食物酵素」が摂れることから、ローフードレストランが注目されるようになりました。
生命維持に欠かせない酵素
生食の根拠になっている「酵素」は、食べ物の消化、吸収を助けたり、呼吸する、代謝する、筋肉を動かすなど私たちの生命活動に深く関わっています。
人間の体を機械に例えれば、酵素は触媒や潤滑油の働きをする存在で、それがないと機械はスムーズに動きません。
生命維持活動に必要な酵素には、大きく分けて消化酵素と代謝酵素があります。
食べ物の消化、吸収に関わるのが消化酵素、代謝に回るのが代謝酵素ですが、実は私たちの体内で生産できる酵素の量は限られていて、足りない分は外から補給しなければなりません。
それが食物酵素で、生きた酵素を体内に摂り入れることで、限りある代謝酵素や消化酵素の消費が節約できるわけです。
食物酵素がそのまま作用するわけではないにしても、酵素やビタミン、ミネラルを摂取することにより、体内酵素が活性化し、代謝や解毒、消化活動が改善され、健康的な体を維持することにつながります。
まとめ
日本人の普段の食生活を考えると、全てを生食に切り替えるのは難しいですが、揚げ物や焼肉、炒め物、鍋物など加熱食一辺倒のメニューでは、食物酵素が死滅し、栄養が抜け落ちたものを食べているのと同じです。
野菜と果物はできるだけ生で、魚は刺身やカルパッチョでと言う具合に、生食と加熱食をせめて半々にするなどのバランスを取ることが大事です。野菜の中には大根や椎茸など、加熱調理をすることで栄養価が上がるものもあるのでメニューに加えるといいでしょう。
大根は、タンパク質を消化するための酵素が豊富に含まれているので、サンマやサバなどの焼き魚に大根おろしとして添えたり、ハンバーグに乗せるなど生きた酵素を取り込むことも消化の助けになるでしょう。
トンカツにキャベツの千切りも同様です。
いずれにしても、食物酵素を死滅させずに体に取り込む食事法を心がけることが大切です。
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