がんを寄せ付けない食品とは?|アメリカが指摘したがんと食の関係

がんや糖尿病、心臓病など現代病の多くは食事と栄養に起因するといわれています。

とくにがんについては、世界各国で防止策やがんを防ぐ食材の研究が進められています。

そのなかで、アメリカは今から40年以上も前の1977年に「アメリカ合衆国上院栄養問題特別委員会報告書」をまとめ、世界に先駆けてがんや心臓病、生活習慣病の原因は食事にあることを訴えました。

通称、「マクガバンレポート」と呼ばれるこの報告で、どんなことが明らかになったのでしょうか?

 

マクガバンレポートとは?

食と医療の超大国・アメリカは、実は1973年から1989年ごろまで、がんの死亡率が増加の一途をたどっていました。

がんだけではありません。

肥満や心臓病、糖尿病なども増える一方で、当時のフォード大統領は、この問題に頭を抱えていました。

「アメリカは、医学が進歩した国である。医療に膨大なお金をかけているにもかかわらず、なぜこんなにがんや心臓病や生活習慣病が多いのか?」

そこで大統領は、上院議会に「特別委員会」を設置し、あらゆる分野の専門家を集め、国家的な調査プロジェクトを始動させます。

その委員会の委員長が、ジョージ・マクガバン上院議員でした。

特別委員会は、世界中の国々を地域別、人種別などに細かく分け、食生活と病気、健康状態との相関関係を専門的に探り、分析していきます。

そして2年の歳月をかけて、レポートをまとめました。

これが、1977年に報告された「アメリカ合衆国上院栄養問題特別委員会報告書」通称、マクガバン・レポートです。

 

マクガバンレポートで明らかになったのは?

調査の結果明らかになったのは、アメリカ人の食生活の酷さでした。

マクガバンレポートでは、「当時のアメリカ人は、高脂肪、高カロリーの動物性たんぱく質に偏った食事をしている。これらの食事が、がんや心臓病、糖尿病、脳卒中などの発生に深く関わっている。そしてこれら現代病の多くは、食事に起因する食源病であり、食と栄養を改めない限り、病気はなくならない」と結論づけました。

このマクガバン・レポート以降、アメリカでは肉と脂肪の摂取を減らすなどの食事指導が行われます。

1990年代に入ってからは、野菜や果物を1日5皿以上食べようという「5 A DAY」運動も始まります。

その結果、1990年以降、アメリカでのガンの発症率は減少し、ガンによる死亡者数も2003年から減少し続けています。

 

がん予防に効果が高い食品

マクガバン・レポートが発表された同じ1970年代、アメリカでは、がんの発生と食生活の関連性を科学的な視点に基づいて明らかにするためのプロジェクト「国家がんプログラム」を開始しています。

その中で注目されたのは、アメリカ国立がん研究所が発表したデザイナー・フーズ・プログラムの「食品ピラミッド」です。

がん予防効果の可能性がある約40種類の食品をピラミッド方式の図で示したもので、上位に位置するものほど予防効果が高いとされています。

そのピラミッドの最上位にランクにされたのは「にんにく」で、次にキャベツ、大豆、生姜、セロリ、ニンジンなどが、いずれも上位に挙げられました。

次に続くのが、玉ねぎターメリック精製されていない玄米や全粒小麦オレンジレモングレープスルーツなどの柑橘類、さらにナス科のトマトピーマン、アブラナ科のブロッカリーカリフラワー芽キャベツなどです。

 

食と栄養の摂り方でがんは防げる

マクガバンレポートでは、東洋医学の医食同源の考え方や、日本人の食生活なども推奨しており、がんを防ぐ手段として応用すべきだと指摘しています。

今から40年以上前の日本人の食生活は、まだアメリカから模範とされるものだったのです。

その日本人が、今や2人に1人ががんにかかり、3人に1人がなくなる時代を迎えているのは皮肉なことですが、その原因の一端は、私たち日本人が古来大切にしてきた食や食文化を忘れて、肉や脂肪、糖質などに偏った欧米型の食生活を好んだ結果ともいえるのではないでしょうか?

いずれにしても、言えることは、がんは食と栄養の摂り方でかなりの部分、防げるという事実です。

がん予防に効果があるのはネギ科、アブラナ科の野菜や、柑橘類などの果物、豆類、精製度の低く食物繊維が豊富な穀類、海藻類など。

逆に、糖質の多い食品や動物性脂肪の多い赤みの肉などは極力避けることが、がんを寄せ付けない食事のポイントになっています。

 

まとめ

がんを防ぐには、食材を選んで体の栄養状態を良くすることが大切です。

結果的に、それが体の免疫力や自然治癒力を高めることにもつながります。

実際に、病気の治療を受ける場合でも、栄養状態が悪いと回復が遅れたり、副作用や感染症を起こしやすい体になりかねません。

栄養を摂取する上で大切なのは、バランスの良い食事を心がけることです。

がんの大好物である糖質を避け、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル、植物栄養素をバランスよく摂取すること。

先に紹介した野菜や果物、豆類、海藻類、キノコ類には、ビタミンやミネラル、植物栄養素などが豊富に含まれています。

このような食事にするだけで、がん発症のリスクから逃れられると言えるでしょう。